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東京海上本社ビル
鉄骨の梁ジョイント作業をする場合は、稀に鋼製ユニット足場があるものの、多くは職人が梁にまたがったり、下フランジにセットした単管に足場板を渡したり、極めて不安定な状態で鉄骨の接合を行っていた。こうした不安全作業を防止するために開発されたのがトビックであり、当時は「H・T・B用足場」と称しており、東京丸の内の東京海上本社ビル建設工事（施工：竹中工務店）で初めて全面的に採用された。
トビックというネーミングは、鳶（トビ）職人がすばやく（クイック）作業ができることからきている。
職人は重いものを持つ作業を永年続けることにより、腰痛に悩まされる人が後を絶たず、現場からは機材の軽量化を求める声が一段と高まっていった。そこでスチール製をアルミ製にするという発想が生まれた。しかし、当時アルミは衝撃に弱く、足場材としては不適格と云われていたが、そのジンクスを破り、なおかつアルミによる軽量化を実現するために様々なテストを繰り返し、製品に安全な強度を持たせるための工夫がなされた。
当時、１つ１つダンボールに詰められていたことから、トビックに対する開発者の熱い思いが伺える。
当時オプションで製作した
トビックとコラムステージ
現場では初めてみるアルミ製品に最初は疑心暗鬼だったが、実物を見て使ってみるとその軽さ、安全性に驚き、安心して作業ができることに鳶職人は大変喜んだ。現場のスタッフも「これならば鉄骨の梁からの墜落も防げるし、簡単に盛り替えができるので、作業効率も大幅にアップする」という評価を得た。こうした反響が広まり、我が国が本格的な超高層時代を迎えるなか、鉄骨建方用足場としてトビックとコラムステージの需要が高まっていった。これは今日も続いていることである。
コラムステージの前身である
〔柱溶接用足場〕
当時鉄骨（柱）の溶接をする時には、建物の外部へ単管を張り出し、そこに足場板を敷き、その上に溶接工が溶接機を持って乗り作業をするという極めて不安全な作業が一般的だった。こうしたとき、東京大手町の三井物産本社ビル作業所（施工：鹿島建設）から、作業に順じて盛り替えのできる足場の要望があり、開発したのがコラムステージの前身である「柱溶接用足場」だった。
フライングブリッジが誕生する前までは、Ｈ形鋼に足場板を敷設したものが多用されていた。この構造では、足場板のタワミや脱落の危険もあり、特に両側に設ける手すりの設置が困難であった。フライングブリッジは地足場・ドッキングタワーへの連絡通路、鉄骨梁上の通路、桟橋など多様な安全通路として活用されている。これも現場から「安全でコンパクトでしかもセットが簡単に出来る通路が欲しい」という声をバックに開発されたもの。開発にあたっては、梁へのかさ上げ式取付金具の他に、梁スパンに適合させるべく伸縮スライド機構（最大長さ9.6ｍ）を備えたものにした。
現場にフライングブリッジをPRしたとき、スタッフはこれまで無かった安全・軽量かつ省力化された製品に驚き、使用した作業員も安心して通れると好評だった。
すき間ゼロの足場板
現場で足場板を設置する場合は、頭上まで持ち上げるため、少しでも軽いものがよいとの職人からの声が多かった。シルクロードは「アルミ合金一体押し出し」構造によって、取付作業のための軽量化に成功している。
一般の足場板（床付き布枠）を並べたときに生ずる隙間や段差をなくし、両側にはつま先板を装着できる構造にした。これによって、隙間あるいは足場端からの物の飛来・落下、そして作業床端からの滑落、即ち人の墜落・転落を防ぐことのできる究極の足場板「シルクロード」が開発された。
採用した現場からは、「とにかく軽くて作業性がよい」、職人からは、「完全にフラットで、隙間がなく、つま先板があるから安心」と好評である。
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