英語で「馬小屋のさく」を意味するスタンションは当社を代表する製品であり、会社を設立して世に送り出した安全装置第1号の作品である。創業前、小野辰雄社長が山形の学校を卒業して、IHIの前身である石川島造船で造船鳶をやっていた時に足場から3回足を踏み外して転落の危機を味わった。この時、「1本つかまるものがあれば落ちなかった」という思いが、会社を設立して製品となったのである。
当時足場の手すりは、クランプを溶接してそれに単管を装着するという方法が取られていた。このクランプを溶接している時は手すりが無い状態のため、墜落するというケースもかなり多く、開発にあたっては、手すりとしての安全面だけではなく「誰もが簡単に設置できる」ということを重視した。製品の安全性が高くても、設置自体が困難では普及は難しく、結果的にはまた多くの犠牲を生んでしまっては元も子もないことである。スタンションはスラブにかませてボルトで締めるだけの単純なもので、この支柱に単管を流せば手すりが完成するということで、造船や建設の現場から注目され、全国で採用されていった。 |